会社の業績が悪化している、後継者がいない、活動していない会社を整理したい、個人事業に戻したい、など、会社を解散しようとした場合、事業活動を停止してから会社を完全に解散させるまでには以下の流れに沿った手続きが必要です。
- 解散
- 清算
- 清算結了
それぞれの手続きはケースによって異なることもあり、場合によっては非常に複雑なものとなりますが、以下、概要を説明いたします。
なお、事業の売却・M&Aなどをお考えでしたら、こちらのページもご参照ください。
解散
会社の解散に際しては解散原因が必要であり、会社法で定められている事由以外での解散はできません。
解散の理由
・定款で定めた存続期間の満了
・定款で定めた解散事由の発生
・株主総会の決議
・合併により会社が消滅する場合
・破産手続き開始の決定
・裁判所による解散命令
・休眠会社のみなし解散(詳しくは変更登記のページ、役員変更登記の項目を参照ください)
「株主総会の決議」により解散する場合は、 議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上による賛成(特別決議)があれば解散が可能となります。当然、株主が社長1人だけの場合は、実質1人で解散の決定をすることができます。
合同会社の場合は社員全員の同意を得たうえで、「総社員の同意書」という書類を作成する必要があります。
清算
解散後、会社に残った資産や負債を整理するための清算手続きをおこないます。
事業を停止して解散した際、代表取締役をはじめ、役員はその職を失いますので、清算のための業務をおこなう「清算人」を決める必要があります。
清算人が決定すれば、解散及び清算人選任登記をおこない、清算手続きに入ります。 解散及び清算人選任登記は、解散日から2週間以内におこなう必要があります。
登記完了後、清算人は以下の業務・手続きをおこないます。債務超過の場合には裁判所に申立をし、裁判所の監督下で清算手続きを進めます。
清算手続き
1.現務の完了
2.会社の財産状況を調査、財産目録と賃貸貸借表の作成
3.債権者保護手続き
4.各種関係機関への解散手続き、届出
5.解散確定申告書の提出(解散から2か月以内)
6.残余財産の確定、分配
1は、解散前に会社がおこなっていた業務の後始末をすることで、具体的には、従業員との雇用契約や取引先との各種契約の解除、在庫品の売却、等をさします。
2について、株式会社の場合は、作成した財産目録と賃貸貸借表について、株主総会で承認を得る必要があります。
3は、債権者に債権を申し出てもらうために、2か月以上の官報への公告の掲載と、会社側が把握している債権者については、個別に催告をおこないます。
4の「関係諸機関への手続き、届出」は、以下の通りです。
関係諸機関への手続き
税務関係…都道府県税事務所、市役所・町村役場
社会保険関係…年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク
その他…許認可を受けている官庁、等
5について、事業年度の開始日から解散日までの確定申告を、解散日から2か月以内におこなわなければなりません。それ以降も、完全に解散するまでは1年ごとの確定申告が必要となります。
6について、会社の持つ債権の回収、債務の弁済、財産の処分、を終え、確定した会社の残余財産を株主に分配できる状態となれば清算が終了します。
清算結了
清算が終了することを清算結了といいます。残余財産確定後、以下の手続きを終えると、会社が完全に廃業することとなります。
清算結了手続き
・決算報告書の作成承認
・清算結了登記
・清算確定申告
・清算結了届
清算人は清算事務の終了後、決算報告書を作成して株主総会を開催して承認を受けます。これによって、会社の法人格が完全に消滅することになります。
決算報告の承認後2週間以内に、会社の登記記録を閉鎖するための登記(清算結了登記)を法務局でおこないます。支店がある場合は、支店のある地域の管轄法務局でも同様の手続きをおこなわなければなりません。
また、残余財産確定後、1か月以内に税務署に清算確定申告をおこない、税務署・都道府県税事務所・地方自治体に清算結了の届出を済ませて、会社が完全に解散となります。なお、 清算人は清算に関する重要書類や帳簿類を清算結了から10年間、保存するよう法律で定められています。裁判所に保存者の選任申立をすれば、清算人以外の保存も可能です。